Vol. 0015
とある学習法(ここではK式と書きます)を高度に身に着けた生徒さんのお話です。
4月の開校と同時に入塾してくれて、いつも「塾に来るのが楽しみ」と言ってくれる小1の男の子です。説明会の時はまだまだ幼稚園児の雰囲気で教室を走り回ったりもしていたのですが、小学校に入学して2か月、少し落ち着きが出てきました。
算数はすでに2年生以上のレベルに達しています。K式のおかげです。卒園の段階で九九も覚えていたので、2年生の教材を与えて、さらに計算力のレベルアップをしようとしていたのですが、しばらくして、この子の能力に違和感を覚えるようになりました。
というのは、この子がとにかく計算速度にこだわるのです。
まず解き方をしつこく聞いてきます。僕がホワイトボードを使って、文章題『すずめが 9わ いました。2わ いえに かえったあと、3わ きました。いま、すずめは なんわ いますか。』の解き方を説明すると、聞いているのか聞いていないのか、つまんなそうに足をぶらぶらさせながらボードを見ています。立ってウロウロすることもあります。
ところが、僕がボードに式を書き始めると、俄然乗り出して式を覚えようとします。そして、僕が答えまで説明し終わると、さっさと問題に取り組み、同じパターンの問題5問ぐらい一気に解き、100点をたたき出します。
わっ早っ!初めは、この子天才か!と思いました。さすがK式と。。。
しかし、同じような文章問題を解かせると間違えるのです。ほとんど同じ問題なのに、です。
僕は、「さっき説明したのと同じことだよ。」と言って似たような説明を繰り返すのです。
前回は元の数から減って増えるパターン。今回は、元の数から一旦増えて次に減るパターン。ですから、式では、+と-の順番が逆になる。。。という説明です。
そして、この子からの質問は、「二番目の数字をたして、三番目の数字を引けばいいんですか」と。僕が「そうだよ」と答えるや否や問題5問一気に解いて、これまた即座に100点。その早いことったら。
だから、違和感なんです。
この子は、考えていないんです。瞬時に計算することが『価値』で、それによって親や先生を喜ばすことを『算数』だと思い込んでいるのです。
頭の中にスズメが並んでいる姿をイメージしていないのです。この子のやっていることは、文章問題の中に含まれる数字をピックアップして、式の中に入れ、瞬時に答えをだしているのです。文章を読んでいない。だから、問題を「解いて」いるわけではないのです。
そのことを発見した時、僕は心底驚きました。
ま、まるで猿回しではないか。。。
が、今ではこの子を担当できることにすごく感謝しています。それ以来、この子に算数を一から教えようと決意して実行しています。まだ小一ですから何とかなります。
何とチャレンジング、何とエキサイティング!
この子には、その後もいろいろと驚かされることが有り、正直、楽しいです。またエピソードをこのブログでご紹介したいと思います。